
こんにちはMLMナビ運営者です。最近、SNSを見ているとキラキラした生活をしている人からDMが来たり、久しぶりに連絡が来た地元の友人から「すごいビジネスの話がある」なんて誘われたりすること、増えていませんか。「MLM」や「ネットワークビジネス」という言葉を耳にして、なんとなく「怪しいな」と感じつつも、心のどこかで「本当に稼げるなら話だけでも聞いてみたいかも」と気になっている方もいるかもしれませんね。特に、今の収入に不安があったり、将来のために何か新しいことを始めたいと思っている時ほど、こういう話は魅力的に聞こえるものです。
でも、ネットで「MLMとは簡単に言うと」なんて検索してみると、難しい法律用語が並んでいたり、逆に「詐欺だ!」「洗脳だ!」といった過激な批判ばかりが出てきて、結局何が本当なのか分からなくなってしまいますよね。「アムウェイ」や「ニュースキン」といった有名企業の名前は知っていても、その実態がどういう仕組みで、なぜ一部の人からあんなに嫌われているのか、正しく理解できている人は意外と少ないんです。
この記事では、業界の裏も表も見てきた私が、専門用語をできるだけ使わずに、MLMの仕組みを図解イメージでわかりやすく解説します。「ねずみ講」との決定的な違いや、もし誘われた時にチェックすべき法律のポイント、そして成功者が語らないリアルなリスクまで、包み隠さずお話ししますね。これを読めば、あなたが今抱えているモヤモヤした疑問がスッキリ解消されて、自分にとって必要な話なのかどうか、自信を持って判断できるようになるはずですよ。
記事のポイント
- MLMの基本的な仕組みと、なぜ報酬が発生するのかというお金の流れ
- 合法なマルチ商法と違法なねずみ講の決定的な法的な違い
- 過去にアムウェイが受けた行政処分の内容から学ぶ、危険な勧誘パターン
- もし契約してしまっても大丈夫!トラブルを回避するためのクーリングオフ知識
初心者向けにMLMとは簡単に解説

- MLMの仕組みをわかりやすく図解
- マルチ商法とは?言葉の意味
- 代表例のアムウェイとニュースキン
- ネットワークビジネスの報酬構造
- 成功者が語るメリットとリスク
MLMの仕組みをわかりやすく図解

MLM(マルチレベルマーケティング)の仕組みをひとことで言ってしまうと、「メーカーが広告費にお金をかける代わりに、商品を愛用してくれる会員さんに販売手数料を払って、口コミで広げてもらう仕組み」のことなんです。
私たちが普段スーパーやドラッグストアで買っているシャンプーや化粧品を思い浮かべてみてください。一般的な流通では、メーカーが商品を作ったら、テレビCMやネット広告で莫大な宣伝費をかけて知名度を上げますよね。そして、卸問屋や商社といった中間業者を通って、最後に小売店に並び、私たち消費者が定価で購入します。つまり、私たちが払っている商品代金には、実は「商品の原価」以外に、タレントさんのギャラやCM制作費、中間業者の利益といったコストがたっぷりと乗っかっているわけです。
一方で、MLMを採用している企業は、この「テレビCM」や「卸問屋」を一切使いません。その代わりをするのが、商品を気に入って愛用している「会員(ディストリビューター)」の皆さんです。
ここが仕組みのポイント
「このサプリ、すごく調子がいいから使ってみてよ!」と友人に紹介し、その友人が購入すると、メーカーからすれば「広告宣伝費」と「中間マージン」が浮きますよね。その浮いたコストの一部を、紹介してくれた会員に「報酬」として還元する。これがMLMの基本的なお金の出どころなんです。
図解でイメージするなら、メーカーを頂点にして、そこから会員AさんがBさんに伝え、BさんがさらにCさんに伝え……というふうに、人のつながりでピラミッド型(あるいは家系図のような形)に組織が広がっていく様子を思い浮かべてください。
よく「上だけが儲かるピラミッド」なんて批判もされますが、仕組みとしては、あなたが誰かに紹介して売上が上がれば、その実績に応じて公平に報酬が支払われるようになっています。つまり、会員一人ひとりが「個人事業主」として、メーカーの代理店のような役割を果たしているんですね。「良いものを大切な人に教える」という口コミのパワーをビジネス化したのがMLMだと言えます。
マルチ商法とは?言葉の意味
次に、言葉の定義について整理しておきましょう。よく「MLMとマルチ商法って違うんですか?」「ネットワークビジネスって別のもの?」という質問をいただきます。結論から言うと、これらは呼び方が違うだけで、実態はすべて同じものを指していると思って間違いありません。
まず「MLM」は「Multi Level Marketing(マルチ・レベル・マーケティング)」の略称です。直訳すると「多階層販売」という意味ですね。これを日本語で一般的に呼んでいるのが「マルチ商法」です。ただ、日本では1970年代から80年代にかけて悪質なマルチ商法が社会問題になった経緯があり、「マルチ」という言葉に非常に悪いイメージがついてしまいました。そこで、業界関係者や会員たちが、よりクリーンでスマートな印象を与えるために使い始めたのが「ネットワークビジネス」という言葉なんです。
法律上の正式名称は?
実は、日本の法律(特定商取引法)には「MLM」や「マルチ商法」という言葉は出てきません。法律上は「連鎖販売取引」という名称で定義されています。個人が販売員となって、次の人を勧誘し、連鎖的に販売組織を拡大していく取引のことを指します。(出典:消費者庁『特定商取引法ガイド 連鎖販売取引』)
勧誘の現場では、「これはマルチじゃなくてネットワークビジネスだから安心だよ」なんて説明されることがよくあります。でも、これは「おにぎり」を「ライスボール」と言い換えているようなもので、中身は一緒です。
言葉の響きに惑わされず、「会員が他の人を勧誘することで利益を得る仕組み」であれば、それはすべて連鎖販売取引(マルチ商法)であり、法律の厳しい規制対象になるということを、まずはしっかり理解しておきましょう。ここを曖昧にしていると、知らず知らずのうちにトラブルに巻き込まれてしまうこともあるので注意が必要ですよ。
代表例のアムウェイとニュースキン
MLM業界には星の数ほどの企業が存在しますが、その中でも特に日本で圧倒的な知名度と規模を誇るのが「日本アムウェイ(Amway)」と「ニュースキン(Nu Skin)」の2社です。MLMに興味がない人でも、名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
なぜこの2社がここまで有名なのかというと、単純に歴史が古く会員数が多いというだけでなく、扱っている製品が私たちの生活に密着した「消耗品」だからなんです。MLMで継続的な収入を得るためには、一度買って終わりではなく、毎月リピート購入してもらう必要がありますよね。だからこそ、洗剤や化粧品、サプリメントといった日用品が主力製品になるんです。
| 企業名 | 主な取扱製品ブランド | 運営者から見た特徴 |
|---|---|---|
| 日本アムウェイ (Amway) | ・ニュートリライト(サプリ) ・アーティストリー(化粧品) ・アトモスフィア(空気清浄機) | 業界のガリバー的存在。製品の品質には定評があり、特に「ニュートリライト」はサプリメント市場でもトップクラスのシェアを誇ります。料理教室やホームパーティーを通じて製品を広めるスタイルが伝統的です。 |
| ニュースキン (Nu Skin) | ・genLOC(エイジングケア) ・ライフパック(サプリ) ・ルミスパ(美顔器) | 「若々しさ」や「アンチエイジング」に特化しており、美容意識の高い女性や健康志向の男性に人気です。エステ体験などを入り口に勧誘が行われることが多く、SNSを活用したマーケティングも盛んです。 |
もちろん、これ以外にも日本国内には「ミキプルーン(三基商事)」や「フォーデイズ」、「ノエビア」など、売上数百億円規模のMLM企業がたくさんあります。最近では「格安SIM」や「電気料金」といったサービス系のMLMも増えてきていますね。
もしあなたが誰かから勧誘を受けたときは、まず「どこの会社の、何という製品なのか」を必ず確認してください。会社によって報酬プランや企業文化(体育会系なのか、アットホームなのか等)も全く異なります。「稼げるから」という言葉だけで飛びつかず、その会社の製品を自分が心から好きになれるかどうかが、実は一番重要なポイントだったりするんですよ。
アムウェイニュースキンについての詳しい記事はコチラ↓
ネットワークビジネスの報酬構造
「MLMって、結局どうやってお金がもらえるの?」ここが一番気になるところですよね。MLMの報酬プランは会社によって複雑に設計されていますが、基本を分解すると大きく2つの収入源に分けられます。
1. 小売差益(直接販売による利益)
これはシンプルです。いわゆる「転売」や「物販」と同じ仕組みですね。例えば、あなたが会員価格(卸値)で3,000円の化粧品を仕入れます。それを定価の4,500円で友人に販売すれば、差額の1,500円があなたの利益になります。
ただ、最近のMLMではこの「手売り」のスタイルは減ってきています。在庫を抱えるリスクがありますし、配送の手間もかかりますからね。今は次の「紹介ボーナス」が主流です。
2. 紹介ボーナス(権利収入的な利益)
こちらがMLMの真骨頂です。あなたが友人に商品を紹介し、その友人が会員登録して会社から直接商品を購入したとします。すると、その売上の数%〜数十%が、紹介料としてあなたに振り込まれます。
さらにすごいのは、その友人が別の友人に紹介して購入が発生した場合でも、その売上の一部があなたに入ってくる仕組み(多段階報酬)になっている点です。
権利収入の仕組み
自分の下に「商品を定期購入してくれるグループ」ができあがれば、自分が直接動かなくても、毎月チャリンチャリンと報酬が入ってくるようになります。これが、MLMでよく言われる「不労所得」や「権利収入」の正体です。
ただし、ここで注意が必要なのが「タイトル」や「ランク」という概念です。多くのMLMでは、「自分のグループ全体の売上が月間100万円を超えたらリーダーランク」のような階段(ステアステップ)が用意されています。ランクが上がれば報酬の還元率(パーセンテージ)も上がりますが、逆にランクを維持するために、自分自身も毎月数万円分の商品を購入し続けなければならない「ノルマ」や「アクティブ条件」が設定されていることがほとんどです。
「働かなくても入ってくる」と言われますが、実際にはその組織を作り上げ、維持するために、膨大な労力と時間、そして自己投資が必要になるのが現実なんですよ。
成功者が語るメリットとリスク
セミナーや説明会に行くと、きらびやかな成功者が登壇して「MLMは最高のビジネスだ!」と語りますよね。彼らの言うことは嘘ではありませんが、あくまで「成功した側」からの景色です。これから始めるあなたは、メリットだけでなく、その裏にあるリスクも冷静に見極める必要があります。
MLMに取り組むメリット
- 初期費用が安い: 飲食店やフランチャイズを始めるには数百万円の資金が必要ですが、MLMなら登録料数千円と商品代だけでスタートできます。「失敗しても借金を背負うリスクが低い(在庫を抱えすぎなければ)」というのは大きな利点です。
- ビジネススキルが身につく: 多くのグループでは無料〜格安で研修が行われています。営業トーク、プレゼン力、リーダーシップ、目標達成の考え方など、普通の会社員では学べないような濃いノウハウを吸収できる環境があります。
- 人脈が広がる: 普段の生活では出会えないような、意識の高い人や経営者タイプの人と知り合えるチャンスがあります。
絶対に見逃せないリスク・デメリット
- 信用を失う可能性: これが最大のリスクです。しつこい勧誘や、相手の気持ちを無視したアプローチをしてしまうと、大切な友人や家族から「あいつは金のために友達を売った」と思われ、連絡を絶たれてしまうことがあります。お金は取り戻せますが、壊れた人間関係を修復するのは困難です。
- 時間と金銭の持ち出し: 「権利収入」になるまでは、完全な労働収入です。セミナー参加費、交通費、お茶代、毎月の商品購入費など、稼ぐどころか「出ていくお金」の方が圧倒的に多い時期が長く続きます。ここで資金が尽きて辞めていく人が9割以上です。
- 精神的なストレス: 世間からの風当たりは想像以上に強いです。「マルチやってるの?」と冷ややかな目で見られたり、SNSでアンチコメントがついたりすることに耐えられるメンタルが必要です。
運営者からのアドバイス
「簡単に稼げる」という言葉は100%嘘だと思ってください。MLMはあくまで「ビジネス」であり、成功するには他の起業と同じか、それ以上の努力と覚悟が必要です。
MLMとは簡単に言うと違法か?

- ねずみ講とMLMの明確な違い
- 特定商取引法と違法な勧誘手口
- アムウェイの行政処分事例とは
- トラブル回避のクーリングオフ
- 稼げないという噂の実態
- まとめ:MLMとは簡単に言えば何?
ねずみ講とMLMの明確な違い

まず、一番混同されやすい「ねずみ講」との違いについてです。よく「マルチもねずみ講も一緒でしょ?」と言われますが、法的には「天と地ほどの違い」があります。
MLMは特定商取引法で規制されている「合法的な商取引」ですが、ねずみ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」という法律で全面的に禁止されている「犯罪」です。運営するのも、勧誘するのも、なんなら参加するだけでも罰則の対象になる可能性があります。
見分ける決定的なポイント
ズバリ、「商品(モノ・サービス)の流通があるかないか」が最大の判断基準です。
MLMの場合、会員が支払うお金は、あくまで「商品の対価」です。メーカーは商品を販売し、その利益の一部を報酬として還元しています。つまり、ビジネスとして経済活動が成立しているんですね。もし仮に新規会員が一人も増えなくなったとしても、既存の会員が商品を愛用し続けて買い支えてくれれば、会社は潰れません。
一方で、ねずみ講には実体のある商品が存在しません(あるいは、価値のないガラクタを高額で売りつけます)。後から参加した人が支払う「入会金」を、そのまま上位の会員たちで山分けしているだけなんです。これを「金銭配当組織」と言います。
ねずみ講の恐ろしいところは、「必ず破綻する」ことが数学的に証明されている点です。人口は有限ですから、いつか必ず勧誘できる人がいなくなります。その時点で、一番下層にいる会員(全参加者の約8~9割)は、お金を払ったのにお金が入ってこないという被害者になり、組織は崩壊します。
最近の詐欺トレンドに注意!
最近では「USBメモリ」や「投資システム」といった、一見商品がありそうに見えるけれど、実際には市場価値がほとんどないものを商材にした「モノなしマルチ」と呼ばれる詐欺が増えています。これは実質的にねずみ講と同じですので、絶対に手を出さないでください。
特定商取引法と違法な勧誘手口
「じゃあ、商品があれば何でもOKなの?」というと、決してそうではありません。ここがMLMの難しいところです。たとえビジネスモデル自体が合法でも、「勧誘のやり方」が法律違反であれば、それは違法行為となります。
MLMの勧誘は「特定商取引法(特商法)」という法律でガチガチに規制されています。しかし、カフェやファミレスで隣の席から聞こえてくる勧誘トークを聞いていると、残念ながらその多くがこの法律に違反しているのが現状です。
もしあなたが以下のような勧誘を受けたら、それは「法律違反」ですので、きっぱりと断ってOKですよ。
| 違法となる行為 | 具体的な違反例 |
|---|---|
| 氏名等の明示義務違反 (ブラインド勧誘) | 「久しぶりにご飯行こうよ」「いい副業の話がある」とだけ伝えて呼び出し、事前に「ネットワークビジネスの勧誘であること」や「会社名」を伝えないケース。これが最も多い違反です。 |
| 不実告知 (嘘をつくこと) | 「絶対に儲かる」「誰でも月収100万いける」といった、断定的な表現で誤解させること。「クーリングオフはできない」と嘘をつくのも重罪です。 |
| 事実不告知 (都合の悪いことを隠す) | 毎月の購入ノルマがあることや、辞める時の条件など、契約者にとって不利になる重要な事実をわざと伝えないこと。 |
| 公衆の出入りしない場所での勧誘 | 「誰にも聞かれたくないから」と言って、自宅の個室や貸切の会議室、カラオケボックスなどに連れ込んで勧誘すること。密室での勧誘は禁止されています。 |
特に多いのが、一つ目の「ブラインド勧誘」です。友達だと思って会いに行ったら、急に知らない「師匠」と呼ばれる人が出てきて、ビジネスの話を延々と聞かされる……。これは完全にアウトです。法律では、会う約束をする段階で「〇〇という会社の勧誘をしたいから会いたい」と伝えなければならないと決まっています。
これらのルールは、消費者を悪質なトラブルから守るために国が定めたものです。詳しく知りたい方は、消費者庁が公開しているガイドラインを一度確認してみることをおすすめします。
アムウェイの行政処分事例とは
「法律違反と言っても、実際には捕まったりしないんでしょ?」なんて軽く考えている会員もいますが、それは大きな間違いです。実際に、業界最大手である「日本アムウェイ」が国から厳しい処分を受けた事例があります。
2022年10月、消費者庁は日本アムウェイ合同会社に対し、特定商取引法違反を理由に「6ヶ月間の取引停止命令」を出しました。これは、半年間、新規の会員登録や勧誘活動を一切行ってはいけないという、企業にとっては死活問題になりかねない非常に重い処分です。
処分の直接的なきっかけとなったのは、マッチングアプリを使った勧誘トラブルでした。ある会員が、アプリで知り合った女性に対し、アムウェイの勧誘であることを告げずに「エステに行こう」などと誘い出し、密室(アムウェイの関連施設や自宅など)で執拗に勧誘を行ったのです。女性が「帰りたい」と言っても帰さなかったり、何度も断っているのにしつこく勧誘したりといった行為が問題視されました。
この事件が示したこと
「会社自体は合法でも、末端の会員が暴走すれば、会社全体が業務停止になる」というリスクが浮き彫りになりました。アムウェイ側もこれを受けて、マッチングアプリでの勧誘を禁止したり、コンプライアンス教育を徹底したりと対応に追われました。
このニュースはテレビやネットでも大きく報じられたので、記憶にある方もいるかもしれません。大手だから安心、有名だからクリーン、というわけではないんです。もしあなたが勧誘された時、相手が「マッチングアプリで知り合ったばかりの人」だったり、「目的を隠して会おうとしてくる人」だった場合は、この事例を思い出して、すぐに距離を置くようにしてください。
アムウェイについての詳しい記事はコチラ
トラブル回避のクーリングオフ
どんなに気をつけていても、場の雰囲気に流されたり、先輩や友人の圧に負けて契約書にサインしてしまったりすることはあると思います。人間だもの、断りきれない時もありますよね。
でも、安心してください。MLM(連鎖販売取引)には、消費者を守るための強力な助っ人「クーリング・オフ制度」が用意されています。
通常の訪問販売などでは期間が「8日間」ですが、MLMの場合は取引が複雑で被害額も大きくなりやすいため、期間が「20日間」と長く設定されています。契約書面(概要書面または契約書面)を受け取った日、もしくは商品を受け取った日の、いずれか遅い方から数えて20日以内であれば、無条件で契約を解除できます。
クーリングオフのすごいところ
- 理由は一切不要:「やっぱりやめたい」「親に反対された」「なんとなく嫌になった」でOKです。
- 全額返金:支払った商品代金や登録料はすべて戻ってきます。
- 違約金なし:解約に伴う損害賠償などを請求されることはありません。
- 商品は着払いで返送:返品にかかる送料も業者持ち(着払い)で送り返せます。
手続きも昔よりずっと簡単になりました。以前はハガキを簡易書留で送るのが一般的でしたが、現在はメールやWebフォーム、USBメモリなどの「電磁的記録」による通知でも有効とされています。
「商品を開封して使ってしまったらダメなんじゃない?」と心配する方もいますが、勧誘者に「使ってみないとわからないから開けてみて」と言われて開封した場合など、ケースによっては返品可能なこともあります。また、もし業者が「クーリングオフなんてできないよ」と嘘をついて妨害してきた場合は、20日を過ぎていてもクーリングオフが可能です。
もし困ったときは、一人で悩まずに、すぐに「188(いやや)」へ電話して、消費生活センターに相談してください。プロが書き方から交渉までアドバイスしてくれますよ。
稼げないという噂の実態
さて、法律の話の次は、やっぱり「お金」の話に戻りましょう。ネット上には「MLMは稼げない」「被害者の会」といったネガティブな情報が溢れています。火のない所に煙は立たないと言いますが、実際のところ、どれくらいの人が稼げているのでしょうか。
運営者としての正直な見解をお伝えすると、「MLMで会社員の給料以上に稼ぎ続けるのは、プロスポーツ選手になるのと同じくらい難しい」というのが現実です。
多くのMLM企業が公開しているデータや、業界の一般的な統計を見ると、月収10万円以上を稼いでいる会員は、全体のわずか数パーセント(1〜5%程度)しかいません。月収100万円を超えるようなトップリーダーに至っては、0.1%にも満たない狭き門です。
なぜ稼げないのか?「経費」の罠
MLMの落とし穴は、収入よりも支出が多くなりがちな点です。
・毎月商品を買い続ける費用(1万〜数万円)
・セミナーやミーティングの参加費、交通費
・勧誘のためのお茶代、ランチ代
・遠方の友人への会いに行く旅費
これらを差し引くと、月収5万円稼げても、経費で7万円使っていたら、実質はマイナス2万円の赤字です。
さらに、タイトル(ランク)を維持するために、売上が足りない月は自分で商品を買い込む「自爆買い」をしてしまう人も少なくありません。家の押入れが在庫の段ボールで埋め尽くされ、借金だけが残った……という悲惨な話は、決して都市伝説ではないのです。
「誰でも簡単に」「隙間時間で」という誘い文句は、あくまで入り口のハードルを下げるためのセールストークに過ぎません。実際には、個人事業主として経営感覚を持ち、赤字を垂れ流さずに組織を拡大できる実力者だけが生き残れる、完全実力主義の厳しい世界だということを理解しておきましょう。
まとめ:MLMとは簡単に言えば何?
長くなりましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。最後に、今回の内容をギュッとまとめておさらいしましょう。
この記事の重要ポイント
- 仕組みの本質: MLMは、広告費の代わりに会員へ報酬を支払う、メーカー直販の流通システム(合法)。
- ねずみ講との違い: 「商品の流通」があるのがMLM、金銭の配当だけが目的で必ず破綻するのがねずみ講(違法)。
- 勧誘の注意点: 目的を隠して呼び出す「ブラインド勧誘」は違法。アムウェイのような大手でも行政処分を受けることがある。
- 守りの一手: 契約してしまっても、20日間は無条件で解約できる「クーリングオフ」があることを忘れない。
- 稼げる可能性: 実際に稼げるのはごく一部。多くの人は経費倒れになるリスクがあることを覚悟する。
MLMとは簡単に言えば、「商品は良いかもしれないけれど、ビジネスとして成功するには相当な覚悟とスキルが必要な、ハイリスク・ハイリターンな商売」だと私は考えています。
もし今、あなたが友人から勧誘されて迷っているなら、まずはその商品が本当に自分に必要か、そしてその友人のやり方が法律を守った誠実なものかを冷静に見極めてください。「断ったら気まずい」という理由で始めるのが一番危険です。
この記事が、あなたのモヤモヤを晴らし、後悔のない選択をするための判断材料になれば、これほど嬉しいことはありません。甘い言葉に流されず、ぜひ賢い消費者としての一歩を踏み出してくださいね。
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